2024/12/01

受け皿が不足している

すべてを支えるだけの場所と労力が足りていない

東京都の場合

比較的介護度が高い高齢者が対象である特別養護老人ホームの待機者数が全国的に増加しています。その中でも特に多いのは東京都です。データには要介護2以上の高齢者も含まれるので、原則要介護3以上という条件で絞り込んだ場合はもう少し減るかもしれません。しかし、他の地域よりも待機者数が多いことは間違いありません。団塊の世代が後期高齢者に突入する2025年以降、待機者数はさらに増加することが予想されます。
待機者数の多さは、東京都の人口が多いことが理由の1つです。しかし、それ以外の要因も含まれます。東京都では、増加の一途をたどる高齢者の施設入居に対応するために、特別養護老人ホームの建設を進めています。一方で、介護職の有効求人倍率は4倍以上で人手不足が深刻化しています。そのため、労働力不足を理由に入居者の受け入れを制限したり、施設の機能を一部閉鎖したりするケースも増えています。需要に対して供給が追いついていないという課題はどの地域にもありますが、東京都ではより深刻化している状況です。

全国的に見た場合

2016年に厚生労働省が行った調査によると、全国にある有料老人ホームは1万846施設です。有料老人ホームの数は高齢化の進行に伴い増加傾向にありますが、近年は特に右肩上がりです。少子高齢化のピークは2040年以降と予想されており、現在の施設数でも足りない可能性があります。全国にある有料老人ホームの定員は42万1,170人で、在所率は83.5%です。この数字だけを見ると、あと16.5%(約7万人)の空きがあるということになりますが、それでも施設が不足しているといわれるのは、やはり人手不足が影響しています。部屋に空きはあるものの、それに対応できるだけの人手が揃っていません。
また、施設が同一地域内に乱立していることも問題視されています。施設の定員が地域のニーズより多くなった場合、入居者の奪い合いが生じます。それと同時に労働力も限られてくるので、人員の取り合いが生じて結果的に人手が不足してしまいます。入居者を受け入れられる状態でも、入居者そのものが少なくて経営が困難になるケースも考えられるでしょう。ある地域では数が足りている一方で、別の地域では定員を大きく割っているといった地域差が生じる可能性もあります。
このように、介護施設が不足しているといわれる理由には様々なものがあります。全国的に受け皿が不足していますが、特に東京都では介護サービスを提供するための人手が足りていません。

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